お客様からの紹介。早速話を聞くと、中庭を中心にブロック塀で周りを囲い、中庭にウッドデッキをはじめ、タイルデッキ・壁泉・テラスを希望。打ち合わせの中で、猫の話になり何とか逃げられない様な方法も考えてもらいたいとの事。家の周りの一部はすでにメッシュフェンスで囲まれてはいるが、あまり効果が無いらしい・・・。また壁泉は水の音があまり大きくならない様に考えてほしいとの事で設計開始!!
先ずは壁。こちらはモダンで白を基調にした雰囲気の家に合わせ手塗りの漆喰風の壁にアルミの笠をチョイス!!さらに閉鎖的にならない様に小窓を作り、更に猫対策と言う事で塀の上のアルミ笠の上と既存メッシュフェンス・更に門扉の上下とありとあらゆる隙間に忍び返しを付ける事に・・・。そして、ワンポイントとして壁にガラスブロックを入れて下からライティングする事に・・・。
次は壁泉。とは言ったものの全く未知の世界。「何がこう~パアってするようなものないべがあなあ~?ちょペットハイカラな奴でいいんだげんとなあ~・・・。」と言っている矢先からカタログで流水口を探しては見たが普通の物しかない・・・。施工例を見てもどれも普通・・・。「こりゃ~つくるしかねえなあ~!!」と言う事でとにかく様々なカタログを引っ張り出し、ようやく見つけたのが照明器具。「これだあ~!!」陶器で出来た照明の笠はつばめの巣の様でまさしくドンピシャ!!「・・・。それはいいげんともなぜして止める?・・・。」
通常の流水口はブロックに挟み込んで使うので取付は簡単だが、この場合は無理。とそこでガラスを使った門柱が浮かんだ。「これだあ~!!その真後ろからライティングすれば・・・。月夜の晩にこんにちわ!!て感じ・・・。更に板を伝って落とすので、音の問題はもちろんコケ等の汚れ問題も解決できるので一石四鳥!!そして更に水受け表面に化粧石を敷き詰める乾式タイプにすることで消音効果はか・ん・ぺ・き・・・。ほとんどしなくなる。」後は花壇を石柱や白いブロックで前後左右と上下に変化を加えて、最後は白いタイルデッキにワンポイントを入れ、白いウッドデッキを階段と腰掛けかわりにして設計完了!!
工事は11月、先ずはブロック積み工事・・・。スピードはまさに新幹線並みとにかくは・や・い・・・。あっという間に積んでしまった。いつもの事とは言え「あっぱれあっぱれ!!」そうこうしているうちに残すは塗り壁工事のみ・・・。「かなり微妙だずねえ~・・・。」塗り壁は5度を下回ると剥がれの原因になってしまう・・・。すると4、5日後から晴れ間が続く予報が出た。「ラッキ~!!これなら何とか出来っかなあ~」と言う事で当日。
天気は絶好調!!しかしこれが不運の始まりとなってしまった・・・。他の仕事の絡みと塗り面積が大きすぎてどうしても一日では終わらない・・・。2日目は最初の予報が修正され若干温度が低い予報になっていた。「やっばっ!!まともにやったら剥がれてくるっぞ!!」と言う事で急遽温風ヒーターをリースし何とか完成したものの、4、5日が過ぎた頃壁に異変が・・・。「あっら~何だ?一部にひび割れ・・・。」と見るや否や日が経つにつれ多くなって行く。こうなるともう手がつけられない状況に・・・。「とほほほほっ・・・。」
いずれにしても来春の壁泉工事の際に直す事で快く納得して頂き、この年の工事は終了となった。
雪も解けようやく春が・・・。今年は壁泉が作れるとあって雪解けが待ちどうしくて仕方がない。そして、3月中旬からの工事に向けて発注を済ませ工事の日を迎えようとしていた矢先、東北大地震が直撃した。お陰で発注した荷物が一部入らず、工事は延期・・・。
しかし、あれだけの大きな地震にもかかわらず、今回の現場はもとより、今まで施工したお客様から一件も被害が出なかった事が不幸中の幸いでした。
そしてようやく少しずつ商品も入り始め工事再開!!配管や電気配線に至るまで、入念にチェック!!とにかく今までになく複雑で細かい作業。特に流水口周りは更に難解。何度も何度も付けたり外したりの作業。とにかく微調整が思った以上に大変・・・。お金目当ての仕事では出来ない、まさに史上最高、究極のこだわり工事・・・。「この電気工事や配管工事、自分で出来っからいいげんとも、普通に任せで仕事させれば、何ぼあってもたんねえべなあ~・・・。」とへこみそうになる心を奮い立たせての工事。好きでなければ出来ません!!
しかし今回はここからがすごかった!!いつもならほとんどの場合「我関せず」と修理を待っている方が多い中、奥さんが何やらバケツの様なものを下に置いて実験していた。「そうか!!そういうことか・・・。!!」その光景を見るや否や、白玉砂利が高温で熱せられて焼け石に水状態。さらに壁に貼った天然石が水を吸収している事に気が付いたようだ・・・。「さすが!!」これで何とか水の補給も2日程度まで伸ばす事に成功!!とにもかくにも工事は取り合えずタイルデッキを残しひとまず終了。
その間偶然にも和風庭園のつくばいリフォーム工事が2件入り、水の補充の話をして見ると、やはり同じように2日程度でバケツ一杯程度の補充が必要との事。「そうか・・・。全く同じだ・・・。要するに贅沢品と言う事だべなあ~・・・。」と言う事で残りのタイルデッキ工事も無事に終了。
こうして奥さんのひらめきに助けられようやく2人3脚で仕上げた壁泉は外構家史上まれにみる究極の逸品となりました。その後も化粧砂利や植栽にこだわりながら、楽しそうに話している笑顔も忘れられない思い出になりました。